【IT基礎知識】NAT と DHCP(ルーターの機能)

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ルーター

こんにちは、ふじみや です。

前回までIPアドレスやサブネットについてご説明をしてきましたが、今回はプライベート空間にあるコンピュータがインターネット通信を行う際にどういうことが行われているのか説明をします。

ITパスポートや基本情報技術者試験ではネットワークに関する問題が頻出しますので、IT関連の資格にご興味のある方は必ず覚えておきましょう。特に、基本情報技術者試験の勉強をされる方は『イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生の基本情報技術者教室』という本が分かりやすくてオススメです。

目次

ネットワークの構成

一般的に、ネットワークは次のような構成になっており、ご自宅(LAN:Local Area Network)からはルーターとONUまたはモデムを経由してインターネット(WAN:Wide Area Network)につながっています(最終的にはインターネットを経由して企業のサーバー等につながります)。

なお、ルーターとONU(またはモデム)が一体化していることもありますので、ご自宅のネットワーク接続状況をみて「うちにルーターらしきものがない!」と焦らなくても大丈夫です。

ルーターの機能

ルーターとは、届いた通信データに付加されている宛先IPアドレスにもとづいて通信経路を決定するものです。

はい、よく分かりませんね。ご自宅で言えば、家の外から引っ張ってきている回線を複数のPCに接続するために使うものぐらいに思っていただければ大丈夫です。これがないと、1つしか通信経路が存在できませんので、接続できるPCは1台のみ、ということになってしまいます。

OSI参照モデル

コンピュータ同士を接続する際の基本的な構造については、ISO(国際標準化機構)により標準規格が定められています。この標準規格に則れば、通信機器やアプリケーションの開発者が異なっていても問題なくコンピュータ間での通信ができるようになっています。

OSI参照モデルの階層と各階層の役割

OSI参照モデルには第1層から第7層まで存在しており、それぞれに役割が振られています。基本情報技術者試験では第1層~第4層までについて頻出しますので試験対策をされる方は是非覚えておきましょう。

名称役割
第7層アプリケーション層アプリケーションの機能提供
第6層プレゼンテーション層データの表現形式統一
第5層セッション層通信手段
第4層トランスポート層エンドシステム間の通信制御
第3層ネットワーク層エンドシステム間の通信経路決定と提供
第2層データリンク層隣接機器間での通信
第1層物理層物理的な接続

OSI参照モデルと主なプロトコルの対比

プロトコル とはコンピュータ同士が通信をする際に使用する手順や決まりごとを意味します。HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やIP(Internet Protocol)、TCP(Transmission Control Protocol)あたりはこのプロトコルの一種で、皆さんも聞いたことはあったりするのではないでしょうか。

OSI基本参照モデルTCP/IP主なプロトコル
アプリケーション層アプリケーション層HTTP, FTP, SMTP, POP3, IMAP4
プレゼンテーション層
セッション層
トランスポート層トランスポート層TCP, UDP
ネットワーク層インターネット層IP
データリンク層ネットワークインターフェース層PPP, PPPoE
物理層

ルーターとブリッジやリピーターとの違い

OSI参照モデルについて理解をすると、このルーターとブリッジ、リピーターについてもより違いが鮮明になります。

ブリッジとは

ブリッジとは、異なるLAN間を接続するという意味ではルーターと同じような機能と言えなくもありませんが、ルーターはOSI参照モデルの第3層(ネットワーク層)で接続している一方で、ブリッジは第2層(データリンク層)で接続をしています。要すれば、ルーターはWANを経由したネットワーク間の接続をしていますが、ブリッジはWANを経由しません。

また、ルーターは宛先IPアドレスにしたがって通信の経路を決定しますが、ブリッジでは機器に一意に設定されているMACアドレスと呼ばれるものにしたがって通信経路の決定をしている点も異なります。

リピーターとは

リピーターはOSI参照モデルの第1層(物理層)に位置づけられる機器で、電気信号を中継する機能を持っています。そのため、宛先となるIPアドレスやMACアドレスを参照することはなく、単純に距離により減衰した電気信号を増幅・整形します。

比較表

以上をまとめると次のような比較表となります。

ルーターブリッジリピーター
機能通信経路の決定通信経路の決定電気信号の増幅・整形
参照するものIPアドレスMACアドレス電気信号
OSI参照モデル第3層第2層第1層

ONU・モデムとは

ONUは光回線の終端装置のことです。光回線は通信が光信号でやり取りされるものですが、PCなどはデジタル信号でデータのやり取りをすることになります。そのため、PCからインターネット通信をしようとするとどこかでデジタル信号→光信号に変換をする必要があるのですが、このための装置がONUということになります。

モデムについてもほぼ同じようなものですが、こちらはデジタル信号とアナログ信号を交換するものです。ですので、インターネット回線が光回線ではない場合に使用をされるものですので、最近では利用されている方は少ないのかもしれません。

DHCP機能

皆さんがお使いのPCに割り振られているIPアドレスは、実はPCを起動するたびに変わっています。

これは、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)と呼ばれる機能をルーターなどが有しており、機器の起動時に自動的に使用されていないIPアドレスを割り当てているからです。毎回変動するという意味で「dynamic(動的)」という名前が用いられています。

NATとNAPT

IPアドレスにはグローバルIPアドレスと呼ばれるWANにて利用されるものと、プライベートIPアドレスと呼ばれるLAN内で用いられるものの2種類があるとご説明をしました。

そうすると、LAN内の機器がインターネット通信をしようとすると、どこかでプライベートIPアドレスがグローバルIPアドレスに変換される必要があります。

このときに用いられるものが NAT(Network Address Translation) または NAPT(Network Address Port Translation。IPマスカレードともいいます)と呼ばれる機能です。通常はルーターの中にこれらの機能が含まれています。

NATとNAPTの違い

NATは1つのグローバルIPアドレスと1つのプライベートIPアドレスを変換する一方で、NAPTは1つのグローバルIPアドレスを複数のプライベートIPアドレスに変換するものです。NAPTはその名前に「Port」が入っているように、宛先のポート番号をNATの技術に組み合わせることでLAN上の複数の機器を認識できるようにしています。

(参考)ポート番号とは

ここで「ポート番号」について少し説明をします。イメージとしては IPアドレスが住所を意味し、ポート番号については部屋番号を意味すると思ってもらえれば大丈夫です。番号としては0~65,535まであり、このうち0~1,023まではウェルノウンポートとして特定のアプリケーションのために予約されています。

よく利用されるポート番号としては以下がありますので、基本情報技術者試験を受けられる方はこのあたりは覚えておいて損はないでしょう。

まとめ

今回はルーターの機能とOSI参照モデルについてご説明をしました。

似ているような機能が多く複雑に感じられるかもしれませんが、OSI参照モデルを理解すれば何となくの違いはご理解できるかと思います(それでも難しければ丸暗記しましょう。)。

また、サーバーへのアクセス管理をする際にはポート番号の設定といった項目も出てきますので、これも代表的なものに関しては是非覚えておきましょう。

次回はDNSについてご説明をしたいと思います。

それではまた。

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